観てきました。
「君の名はの次は、この世界の片隅にがキテる」という噂を聞いてから、はや数ヶ月。
まだやっててよかったユーロスペース。
結構重い話だということは聞いていたのですが、広島舞台の戦時モノだとはつい知らず…
だんだん展開の悪い方向が見えてきてヒヤヒヤして観てました。
この映画の素敵なところは、
『戦争ってこんなに悲惨なんだよ。そんな"犠牲"の上に成り立ってる現代を大切にしようよ!!』
という押しつけがましさが全くないところ。
悲惨な部分は一部分で、大部分は主人公すずの日常を幼少期から丁寧に描いてある。
だからこそ積み上がっていたものが崩れる悲惨さがあるし、日常に感情移入している分、こちらまで痛々しく感じる。
かといって絶望して終わりでもなく、楽しいことも温かみもある日々が続いていく。
そしてボクらの現代は、そんな"日常"の先にあるのだと、決して"犠牲"一色の上にあるわけではないのだと気付かせてくれる。
登場人物たちに体温を感じるし、同じ人間として共感出来るから、戦争の記録映像の何倍もリアリティのある恐怖を、アニメーションの爆撃の中に感じました。
戦争で帰ってこなくて悲しむ対象の人もいれば、喜ぶ対象の人もいた。
終戦宣言の時にキョトンとする人もいれば、怒る人もいた。
自宅の白米の無味に落胆することもあった。
きっと本当にそうだったはずだ。
少なくとも、僕があの時代を生きていたらそうだったはずなのだ。
戦争が本当はどんなものだったのか。人間はその時どう生きていたのか。
その一端を見れた気がしました。
nekoich