2010年頃のことだった。
まだ中学生だった私は、ある日
足の裏に力を込めることで、
足をつらせることができる能力を手にした。
意図せず足をつるのとは違い、
緊張からの弛緩、その瞬間には至福がある。
その能力は、誰が教えるわけでもなく
まだ中学生だった私は、
当然誰もがこの能力を使えると信じていた。
私は足をつらせては、その心地よさに酔いしれたものだ。
この能力が誰しもに与えられているものではないことに気づいた。
多くの者にとってには痛みにしかならない。
心無い言葉を浴びせられることも少なくはなかった。
この能力には謎が多い。
未知の力に怯えながらも、やめることができない
なぜ、足なのか?
なぜ、この痛みを気持ちよく感じるのか
なぜ、痛みが引いたあと、疲れが抜けるように感じられるのか―――
いったい、ほかに誰がこの謎を解き明かすことができようか。
足をつらせ、痛みの余韻にひたりながら、私は眠りにつくのである。