通常、肉体を持っている時というのは、どっしりと自分の体重を感じている。肩こり、頭痛、目の痛み、スマホを触る硬い感触、椅子の座布団の上に据わる柔らかい感触、机に肘をつくときの軽い痛さ、なども独特の肉体をもつ感覚。
普段当たり前に感じているが、これらは霊体では当たり前ではない。
他にも、普段意識はしないが、体を持っているときの感覚として、精緻な細胞の一つ一つを感じる。指や腕や足を曲げるときの、骨の間接が芸術的なまでに柔軟に動くことや、筋肉の動き、クッションのような脂肪など。神がつくった体という造形の素晴らしさを感じる。この体験は霊体では得られない感覚だ。
服を脱ぐときとの違いというか、一番独特な感覚は、目の視点がズレルということ。
目という器官というのは特殊な部位のようで、人間は世界を知覚するときの大部分を目に頼っている。霊体にも目があり目で空間を見る。そして、魂が抜けるとき、頭ごとずるっと抜ける感覚があるのだけど、その時、目線が今までの自分の身長以上の所から空間を見れるようになる。