事故で、その日のうちに死んだ。
当時は、時間が解決してくれるなんて気安く言うななんて思ったけど、今はその痛みが小さくなっていることに気づく。
いや、その痛みに気がつかないようにしてるだけかもしれない。
妻が死んでからわかったことだけれども、妻は自分の他に好きな人がいたようだ。
妻がいなくなってからというもの、自分がなんで生きているのかわからなくなった上、そのような現実を知って、自暴自棄になった。
そんなことをするはずもないと思ってた分だけ、余計にショックだった。
結婚してから、妻のことを女性としてではなく同居人として扱ってしまったことと、妻の惚れっぽい性格がそうさせたのだろう。
妻と過ごした街が嫌いになったし、何より妻との思い出がある家に住むのは耐えられなかった。
今、手元にあるのは遺骨と、パソコンの中の写真のデータだけだ。
そして、この遺骨も、妻の両親へと返すことになっている。
いつの間にか、夜に泣くことがなくなった。
いつの間にか、怒りに狂うこともなくなった。
ぽっかりと空いた胸の穴も、だんだんと小さくなっている。
薄情な人間なのかもしれない。
かもしれないじゃなくて、薄情だと、自分でも思う。
あの結婚生活は夢みたいだ。
夢みたいに、思い出も、もやがかかったみたいではっきりと思い出せない。
でも、楽しかった。
楽しかったんだよな。
不貞カスが死んだか