2015-01-26

昼下がりの微笑

ときどきふっとさみしくなる。

でもそんなこと人には言えない。

傍目から見たら、人生かなり成功してる部類に入るだろう。

この齢になってもきれいな妻、

何の問題もなく素直なふたりの子供、

清潔で住み良い区内のマンション

職場での人望も悪い方ではないと思っているし、

先月まとめた大きな案件は順調に動いている。

それでも、この不安はなんだろう。

何かがうまくいくほど、

閉じ込められて窮屈になっていくような気になる。

考えはじめると苦しくなってくるから

適当なところでうっちゃって、恋人LINEを送る。

付き合いはじめたのは去年の春だったか

俺にしては長く続いてる。

あっさりしてて、笑顔かわいい美人な女。

時間をやりくりして会う時間を作る。

2週間前は仕事の後に、さっきは昼下がり。

セックスが終わってベッドのなかで抱き合ってる時には、

このよくわからない不安から自由になる。

ももちろんそんなこと口にはしない。

たまに愛の言葉なんかをつぶやいてみると、

彼女馬鹿にしたような顔をしようとして、

それでも少し照れる。

心が軽くくすぐられるのを認めながら、

ふふっと微笑む。

遅めの昼ごはんを食べた後、

彼女と別れて、友人の出版記念パーティへ。

退屈して隅のほうで様子を眺めていると、

同じように退屈した若い子と目が合った。

しか、前にもどこかのパーティで見かけたことがあったような。

向こうが近づいてきたので話を始めると、

文学部を出たそうで、読む本の趣味が合う。

21時の閉会まで待たずに、この子と連れ立って場所を移る。

そういえば彼女からLINEが来てた。

なにかしら返事しておかないと後ですねるから

ささっと携帯をとりだす。

すぐに返事があって、飲み過ぎちゃ駄目、

ふふっ、かわいい女。

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