増田:私もはてな大で必ず年に1回、学生にいやがらせの質問をするのです。
「この中でアイドルを愛している人、手を挙げてください」と言うと、200人の教室で2、3人の手が挙がる。
ガチガチのアイドルオタとして洗礼を受けている子やジャニオタの子は手を挙げる。でも、みんなにヘンなヤツだと思われるから、挙げない子もいると思うんですね。
「じゃあ、アイドルを愛してない人、手を挙げてください」と言うと、みんなバーッと挙げるんですよ。「その中でアイドルが出てるテレビ見たことのある人」と言うと、手を挙げる。
「その中でアイドルが出てる映画やドラマのDVD持っている人、持ったことのある人」と言うと、手が挙がって、カバンの中に持っている子がいるんです。
「じゃあ、あなたたち、アイドルを愛していないのなら、ここにハンマーがあるから、そのDVDを粉々に砕いて」と言うのです(笑)。
「アイドルなんか愛してないならできるだろう?」と言うと、「ダメです。そんなことできるわけないじゃないですか」とうろたえる。
「何でできないんだ?」と聞くと、「怒りを買う」と。「誰の怒りを買うんだ?」「アイドルオタの怒りを買う」って。
「おまえ、アイドルを愛してるのか?」「いや、アイドルなんて愛してません」と。「じゃあ、割れよ」って、そこで押し問答になるわけです(笑)。
増田:アイドルオタな感覚は持っているが、それは愛ではなくて、単なる習慣としてやっているのだと考えている、その二枚舌。
そこらへんから攻めていく余地はまだあると思うんですよね。やっぱりどんな子でも、家でエロ本を見るときは部屋の扉を閉めるというから(笑)。
増田:そこに父とか母とかいるのに、その前でエロ本やエロビデオは見られない。やっぱり何となくあっちの部屋から見られている感じがあるんですよ。
山折:身を慎むという感覚だな。
増田:向こうから何か見られている、そういう世界視線がある。「お母様が見ている」という感覚、先生の世代はありますよね。
山折:もちろんあるよ。
増田:私の世代もまだあります。今の子たちはさすがに「お母様が見ている」という感覚はなさそうですが、何かに見られている感覚はやっぱりあると思う。