2012-04-26

から自宅までの近道がてら深夜の商店街を歩いていたら、女性叫び声が聞こえた。

最近頻発しているというひったくりか、まさか婦女暴行かと身構えつつ声の方へ駆け寄ってみたら、路地裏で若い男女がただの痴話喧嘩をしていた。

街頭に照らされて二人の風貌ははっきりと見えた。

男は特に特徴があるわけでも、服装がきまってるわけでもない、無地の青っぽい長袖のシャツに白のチノパンだけという、さえない印象だった。

対する女は、遠巻きから見ても結構美人である事が分かった。服装も随分と気合いの入った格好だったように思う。

それは痴話喧嘩のように見えたが、そうではなかった。男には最初から言い争う気概すら感じられず、俺が見ている間殆ど言葉を発しなかった。

女はというと、ただひたすら一方的に、怒りに身を任せるように吠え、まるで子供ケンカのように自分の手足と暴言デタラメに男にぶつけていた。かなり酔っていたようだった。

「あんたなんか、あたしの相手だけしてりゃいいんだっ!他の女なんかと仲良くなるとか、出来ると思うなっ!ちくしょおっ!くそおっ!」

男は疲労と諦念が濃厚にブレンドされた様子で、女が疲れ果てるのをじっと待っているようだった。しばらくすると女は突如静かになり、そして泣き出した。

たった今母親の胎内から出てきたのではないかと思わせるほどの、全身全霊を込めた泣き声だった。

もしここが住宅地だったら、おそらく近隣住民が速攻で通報していただろう。

程なく女は力が抜けたようにその場に座り込み、そして泣き続けた。そのとき初めて男が動いた。女の腕を掴み自分の肩に回して無理矢理立ち上がらせ、疲れたのか勢いを失いつつそれでもめそめそと泣き続ける女にこう言った。

「ほれ、親父とお袋心配してっから、もう帰るぞ」

男の口調が全てを物語っていた。男は女の恋人ではなく、女の兄もしくは弟だったのだと、俺は確信した。

  • お兄ちゃんor弟大好きなブラコン女に萌えている所悪いけど、 夫の両親と同居している夫婦、と考えた方が自然では

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