2023-05-16

印鑑証明役所オマケでやっている業務

この記事ブクマで「全国で統一したシステムを作ればいいだろ」というコメントがある。住民票戸籍はそのとおりだと思うし、デジタル庁が旗振りして共通化がゆっくりながら進んでいる。しかし、印鑑証明についてはそうはいかない。

住民票戸籍も、住民基本台帳法戸籍法に根拠があり、国が市区町村実施義務づけた法定受託事務である。この事務の進め方は国が標準を示し、そのとおりに進めることが求められている。

一方、印鑑証明はそれらと同様に隣の窓口で行われている事務ではあるが、なんと法律に一切の根拠がない。市区町村はそれぞれ「○○市印鑑登録条例」とかを作って、市長裁量条例なので議会の関与もあるといえばあるが)で行っているのが印鑑証明なのであるタイトルの「オマケ」は言い過ぎだ。ごめん)。セキュリティに詳しいコンピュータエンジニアなら、昨年まで自治体ごとに行政機関個人情報保護条例がまちまちで、行政仕事を受けるときに注意しないといけなかったことを思い出す人もいるかもしれない。あれに近いものがある。

から、どんな印鑑登録できるのか、来たときの本人証明はどうするのかなんかは、すべて役所ごとにまちまちである。「引越前の市ではこれでOKだったのに!」といってもなんにもならない。根拠となるものが、前の市とこことでは違うのだから

国は法律では市区町村印鑑証明事務をやれといっていない一方、印鑑証明があるのを所与のものとした制度設計をしている。例えば不動産登記法個人登記をするためには市区町村長による印鑑証明書の提出が必須になっている。一度法務省電話をして「もしも『うちの市では印鑑証明書は出してません』って市があったら、そこの市民はどうやって不動産登記したらいいんですか?」って聞いたら「そういうことが起こるとは考えていません」って答えられた。そんな状況を放置しているため、印鑑証明は1,000以上の市区町村が1,000以上のやり方で続けていく状態はどうにもならなさそうである

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