昔話です。
弊社は男性社員はスーツだが、女性社員はオフィスカジュアルである。どれくらいカジュアルかと言うと、ある社員はすっぴんにライブTとジーパン、またある社員はフリフリの可愛いワンピースにカラフルなメッシュの入ったヘアスタイル、そしてまたある社員は縦横にボリューミーな身体を魅せつけるかのようなムチムチミニスカボディコンワンピ、と言った具合である。ちなみにボディコンワンピの社員が出席している会議では、セクハラにならないように男性社員達がみんな少し上を向いていた。谷間の開きが毎度凄まじかったからである。
そんな環境で過ごしていた若かりし頃の増田は、ガーリーなブラウスにロングスカート、レースの靴下とコロンとした靴を合わせることが多かった。化粧はブラウンのシャドウと申し訳程度のアイラインと派手すぎないチークと口紅。よその会社ならともかく、奇抜なファッションセンスあふれる弊社ではかなりの地味ファッションであった。(今なら、なんなら昔でもダサいと思うが、どうかご容赦頂きたい)
これで馴染めていると思っていた。
が、ある日、まるでドラマのようなのだが、給湯室で聞いてしまったのである。
「増田ちゃん...の...ねぇ...」「本人ちょっと...顔...いやこれは(言ってはいけないという意味だろう)だめねえ」「まあ可愛くは無いよねえwwww」
と言った内容であった。馴染めていると思っていた。地味だし。肌の露出もしていないし。だがダメだった。ブスはそんな格好をしてはいけなかった。オフィスカジュアルを勘違いしていた。
ちなみに上記の内容を話していた増田の倍以上生きているマダム達のファッションは1人は全身黒ずくめで夏はたまにホットパンツ、もう1人はおかっぱヘアにヒョウ柄あるいは何かしらのアニマル柄ファッションであった。
凄まじいショックと悲しみと葛藤があったが割愛、結局すべてユニクロの服にかえてさらに地味に生きることにした。そこからは増田が気付いてないだけかもしれないが、ブサイクと陰口を叩かれる場面は見なくなった。
オフィスカジュアルを謳歌できるのは何を言われても聞き流せるスキルを持つ社員(すっぴんジーパン社員)か、見た目偏差値が高い社員(フリフリメッシュ社員)か、女性社員の中で上位のヒエラルキーに属する社員(ボディコン社員)のみである。そしてブスは個性を出してはいけない。これが増田が学んだオフィスカジュアルである。もう全員制服にしようや......。
△ ブスは個性を出してはいけない ○ カーストの低いやつは個性を出してはいけない コミュニティができるとどこも大して変わらないね
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