2015-06-11

私が小学6年、それとも中学1年の頃だったか

父の浮気が発覚した。

職場の若くてきれいな未婚女性だった。

妻子持ちでハンサムでもダンディでも筋骨隆々でもないただのブサイクなオッサンになぜ?という相手だったので

コミュニケーション能力ってのは偉大なものなのだと幼いながらに学んだ。

毎晩のようにカノジョのところでお泊まりセックス。朝方帰宅し、身支度を整え仕事へ行く。

家庭内不倫が露呈してからも、その関係は数年に渡り続いた。

そんな状態になって少し経った頃、母は鬱病になった。

精神状態は常に不安定で、些細なことで取り乱し、泣き叫び、怒り狂う。

何度か自殺未遂もした。

処方された睡眠薬を大量に飲み、昏倒する。意識もおぼろでわけのわからないことを言う。

台所の流しで薬を吐く。丸二日眠り続ける。エトセトラ

母は若いから自殺未遂を繰り返す人だった。

左手首には数本の傷跡があり、いつも天然石のブレスレットを重ね付けしてカムフラージュしていた。

からはいつも父や浮気相手への愚痴を聞かされていた。私も父の行動には常々怒りを貯めていたので、一緒になって文句を言っていた。

「おとうさん」と呼ぶのすら腹立たしく、本人の居ないところでは「オッサン」呼ばわりだった。

ある時から母が携帯を手放さなくなった。いつもメールを打っている。

メル友ができたと言う。いい人なんだよ、とも。

母は普段出掛けたりしない夜更けに家を抜け出すことが増えた。

風呂上がりで髪がぬれたまま、ブラジャーも着けずに家を出る。

メル友と会ってくると言っていた。

ちょっとそこの自販機へ、とはワケが違う。

母は胸が大きかったので余計、娘の目で見てもいやらしく、汚らわしいと思った。

「ねえ、お母さんだって、お父さんと同じことしてんじゃん」

「それ、浮気でしょ」

「違うの、この人は相談に乗ってくれてるだけ」

そうは言うが、それ以上の否定はしなかった。

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