首を吊ってみたが中々苦しい。意識が落ちるという噂を信じて何度も試したけれど、あれは嘘なのではないかと思う。こんな時に限って頑丈な身体が憎い。
唾を飲み込むたびに喉仏が上がって縄がずれてしまう。
我慢すれば死ねるのかもしれないけど、そんな根性があればそもそも死のうとなどしていない。
自殺に成功した人間はよほど気合いが入っていたか、抽象的な苦しみなどではなく非常に切迫した思いに駆られていたのかもしれない。
考えてもみれば、そんな簡単に死ねればもっとバタバタと自殺する人間がいるのかもしれない。
自殺を試みて、死ぬのは案外簡単だ。逃げ道を見つけたら少し気楽になった。もう少し頑張ってみよう。なんて事を思う人がいるらしい。他人に自殺されては面倒な人間の適当な励ましだったのかもしれない。
自分はただ生きるしかないのか……という絶望感だけが残った。そこで「やっていくしかないな」と思う人間も最初から死のうとなど思わない気がする。
割とどっかで死ねばいいかな〜という思いをアテに生きてきたフシがあるので、ツケも払えずどうしたものか。「後になって後悔するぞ」なんて散々言われてきたけれど、人生で初めてその実感を覚えたかもしれない。
飛び降りる覚悟を持つか、苦しみに耐え抜く気合いを手に入れるか、それらを生きる方に向けるか。そういうのが全部面倒だから死にたいんだけど。