2023-08-02

誰か故郷を想はざる

いしいひさいちのROCAがKindle Unlimitedに追加された

発売から1年の区切りらしい

それまでは公式ホームページから通販する以外ほとんど手段がなく、この制限さえなければまだまだロカは遠くへ行けるはずだろうにと思い歯痒かった

もしこれを読んでいて、まだROCAを読んでいない諸兄は今すぐKindleを開いて欲しい

今まで注文して振り込みして数日待たないと読めなかったポルトガルカラーの本がすぐ手の中に収まる


この1年ありとあらゆる場所評価されて続けてきたのでご存知かもしれないが、読後は凄まじい衝撃と言い表せない感情に襲われる

衝撃というと地割れとか雷みたいなイメージだが、ROCAのそれは波だった

突然ザーンと襲われて消え、え?と思った瞬間またザーンと襲ってくる、そうしてざらざらと削られるまま立ち尽くしていたら、そのうちに落ち着いた波の音とカモメの声しか聞こえなくなってしま

この海がどこにあるのかは、読み終わった時に誰しもわかるだろう


ROCAは宿命望郷物語

もう別れてしまって会うことのない人や、頭の中にしか残っていない子どもの頃に見た景色

そして必ずそこには変わることのない想いや風景があるということを思い出させる

いしいひさいちのようなシニカルな人にもそういった想いがあり、それを漫画として表に出したということが、驚くと同時になんだか嬉しくもある


9月3日には、ROCAの新作「花の雨が降る」が発売される

9月2日に72歳を迎えて1発目の単行本(同人誌ではあるが、もうそんなの関係ないと思わされる、あとタイトルがすごい)

ロカという歌い手の歩み、そしていしいひさいちという作家の歩みをこれからも見られることに感謝したい

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