2023-07-22

あだち充タッチ』の南の心理私見

ホッテントリ

> あだち充タッチ』を精読する。朝倉南はほんとうは何を考えていたのか。 - Something Orange

https://kaien.hatenablog.com/entry/2023/07/21/181247

への感想

 ──────

 

彼女和也が最も欲しているもの――無償にして無条件の愛、それだけはあたえてあげることができない。

 なぜならば。そう、彼女が愛しているのはあくま和也ではなく達也からである

 

そんなに単純な話であるけがないだろう。もしそうならば、喜んでホイホイと達也にくっつけばいい。

 

現実にはそうならない。なぜなら、くっつこうとしても、和也面影が出てくるからだ。つあまり、「彼女が愛しているのはあくま和也ではなく達也だ」というような単純な図式は成立しない。換言すれば、次の図式は成立しない。

 

     [和也]───────[達也

            ▲

 

 このようなヤジロベエでの比較は成立しない。両者を比較するのは間違いだ。

 では何があったかと言うと、こうだ。

 

         (和也

        /   \ 

      南 ── ── 達也

 

 ここにはトライアングルがある。ただし、頂点の(和也)はすでに消失している。消失している人物が、トライアングルの頂点となっている。そのせいで、南と達也は分断されてしまっている。(つながらない)

 

   (和也)─ 南

   (和也)─ 達也

 

 という結びつきが強すぎるせいで、

 

    南 ─ 達也

 

 という結びつきは阻害されてしまうのだ。

 この阻害が、ロミオとジュリエット障害要因(家柄)のように、二人の間の障害要因となる。

 

 ついでに言えば、南の心理は、分析で片付くものではない。南の心理は「わかりにくいもの」として受け取るのが正しい。南は後ろ姿を見せて、本心を隠す。本心を隠したヒロイン像というのが、この作品の特徴だ。

 「男にとってはわかりにくい女性心理

 という謎 X として理解するべきなのが、南のヒロイン像だ。わかったつもりになるのは、作品本来趣旨正反対ねじ曲げていると言える。わかったつもりになってはならないのだ。

  

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