学生の頃、バイト先の先輩が好きだった。バイト終わりにファミレスでポテトとドリンクバーを頼んで閉店時間まで話込む。バイトの話、好きな音楽の話、昔の話、飽きることなくずっと。
5人の仲良しグループだった。うち2人はこのグループが縁で結婚した。一人は社員になって、私ともう一人は大学を卒業してバイトを辞めた。
そのうちみんな離れ離れになった。もとからそんなに動いていなかったけど、その時の流行りを頂戴した名前のグループLINEは数か月に一度だけ動くようになって、コロナの流行。集まろうと気軽には言えなくなった。共通点を失ったグループは離散していく。
大きなきっかけはない。その日はなんだか積極的な1日だった。たぶん、機嫌がよかったのだ。
「久々に集まりましょ!」とグループLINEで声掛けをして、当日私と好きだった人は2人で居酒屋にいた。私たち以外は接客業に就いており、繁忙期も似たようなものらしくどうにも都合がつかなかったという。
昔、好きだった人に会う。でもそれは、みんなの都合がつかなくて2人になってしまったのだから、しかたのないことだ。なんて免罪符を誰に向けるのでもなく思う。
好きだった頃から4年が経った。容姿も考え方も少しだけ変わっていた。数年間、同じ場所で同じ時間に働いていたのに、会おうと決意して、時間とお金を使わなければ会えない。だから会わなかったのかもしれない。好き「だった」。
あの時の触れられそうで触れられない距離はより遠くなっていた。