2020-11-26

バアさんたちの友だちの話

電車の中で、立っている俺の目の前の座席友達同士とおぼしきバアさんたちが三人、横がけで座っている。バアさんたちの私物と思われるトランクケースが網棚に並んでいるのは、これからどこかに旅行に行くのかもしれない。

つい先ほどまでは、バアさんの一人がまだ立っていて、座っている二人と対面になりながら三人で会話をしていた。だが、全員が座ってからは、中央のバアさんBとその左のバアさんCが、Bの撮ったスマートフォン写真について花を咲かせ始めて、右隣のバアさんAは話に入れなくなってしまった(ように見えた)。

想像するに、BとCは仲が特によく、AはBとは仲がよいがCとはそれほどでもない。また、AとBの仲も、BとCのものほど良くはない、という感じではないか

俺とバアさんという人種存在としてほぼ対極にあると言えるが、バアさんAの気持ちがよくわかるというか、そりゃまあ普通に起こることなんだろうけど、「バアさんになってもこういうことあるのかよ。うーん、そりゃそうなのか…」と思った。

そういうわけで、バアさんAにとってはけっこう感情がだんだらになりそうな旅行だし、A自身もそれを承知していたのでは、と思う。ただ、それでも誘われたら(Aが提案した行楽って感じじゃなさそうだ)行ってしまうだろうな、とも思った。家に一人で、もしくは(実際は知らんけど)気の合わない家族といるぐらいなら、ときどき鋭く刺さるような孤独を感じさせられるとしても、誘われたら行ってしまうだろうな。なんだか辛いな、と感じた。もちろん、本当の事情はわからない。

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