父は私が小学生の頃単身赴任先で倒れた。以後ずっと寝たきり生活。頭もはっきりしない。
状態が安定して転院した父と一緒に、なぜか父の不倫相手も私の実家付近に引っ越してきた。父の面倒をみたいらしい。
「お父さんの彼女だよ」と紹介されたその女は幸が薄そうで、地味で、派手で勝ち気な母とは正反対だった。
女は甲斐甲斐しく父の面倒をみた。父が正月に入院先からの一時帰宅が許された時には、父の実家まで来てご飯を食べさせオムツ替えをした。
正月に不倫相手の実家で、不倫相手の親戚と食事を取って、同じ屋根の下寝泊まりするなんて、なんて図々しい女なんだろうと思った。
祖父母も母も、その女が細かい面倒をあれこれみてくれることが助かっていた側面もあったのか(少なくとも子供の前では)非難するような事は口にしなかった。
でも私はその女の事が大嫌いだった。
ずっと大好きだった父の事も、私を抱きしめていたその手であの女を抱いていたかと思うと憎くて吐きそうになった。
その女の事を、いつか大勢の人の前で、恥知らずのクソアマめと罵ってぶん殴ってやりたいとずっとずっと思ってた。
その女が死んだらしい。
病気が見つかった頃にはもう末期で、あっという間だったらしい。
まじか。
清々しいような、ざまあみろと言ってやりたいような、でもちょっと悔しいというか、やり残した感があるというか。
墓にしっこでもかけたろうかな。
うんち
父の魔女も死んだ