私はどこを目指して歩けば、気持ちがいいのだろうか?
私は今大阪へ向かっている。新幹線の車窓から名も知らない町を眺めると、少しだけ気が紛れる気がする。
この町に住む人々は何を求め、何を不安に思うのだろう。
都内ではまず見かけない大きな一戸建てが地平いっぱいに並んでいる。彼らは一体どんな仕事をして、幸せそうに暮らしているのか、私は羨ましく思った。
私は今日も研究をサボって就職活動中である。都内から大阪へ日帰りだ。出費もバカにはならないから、昼食は抜きにせざるをえないだろう。
私は何をしているのだろう、と思う。経団連が定めたルールに沿って職を探していたのだから、六月にはこの外出続きの毎日は終わるはずだった。なのに、私はまだ稼ぎもろくにないのに日帰り旅行を繰り返している。
内定は持っているのにも関わらずだ。それも複数。ではなぜこんなことをしているのか。
私は不安なのだ。不安から逃れるために、こんなことをしている。
今ある内定先はどれも理想からは遥かに遠い。あるものは給料が足りず、あるものは海外へ駐在しろという。私は人を救い、労働の対価を十分に獲得したいし、家庭を養ってともに暮らしたい。
心斎橋で甲賀流のたこ焼きを食べなよ。たこせんおいしいよ。