職場の人間に興味が沸かないのでいつまで経っても名前が覚えられない
初めは興味を持っていた筈だった。だけどそれも次第に演技になった。
きっと相手も皆演技をしている。
そういう事をされている内に、少しずつ興味が失せていった。
ああ、この人達に自分は必要ないのだ。欠員が出てもすぐまた埋められる存在なのだと。
幼馴染のIは結婚して九州へ渡り連絡途絶中だ。思い入れがある存在である筈の父はかなり昔から別居している。
貴方が大切です、だなんて言えば言うほど虚しくなる。
ここに自分を置いて下さい。大切にして下さいと嘆いた所で同情しか寄せられない。
幼い頃はこうではなかった。愛していたし、愛されていた。担任からは疎まれていたかも知れないけど、担任は逆に子供達に囲まれながら孤独だったに違いない。
弁えられる年齢になってしまったからこそ、近付けば近付く程壁を認識するからこその無関心だ。
だって、ほら、あそこまで近い仲になったあの子と自分の間に結局何が生まれた?今や齟齬、蟠りとなりつつある。だから、もう、良いのだ。淡白になりきってしまえば、その方が気が楽だ。