都市伝説は大抵尾ひれがついたり変質したりするけれど、地元の市で、しかもリアルタイムで起きているとは思わなかった。
うちの市には「ピンク婆」「ピンクおばさん」などと呼ばれる名物的な人がいる。
由来は単純で、いつもピンクのふりふり多めの服(+日によってミニスカ)を着ているから。
そんな格好をしているもんだから、子供たちの間では時々噂になっていたわけだ。
あと、目撃情報から考えると異様に行動範囲が広いこと、親の代から市内にいたことなども都市伝説化に拍車を掛けていたと思う。
それでこの前久々に帰ってみたら、甥やら従兄弟の子やらからピンク婆の話が出た。
まだ現役なのかと驚いていたが、上述の情報に加えて、更に情報が一つ増えていたことにもびっくりした。
なんでも「ピンク婆は実は男性らしい」……ここに来て新展開である。
どこから噂が追加されたかは不明だが、我々が二十余年もの間「ピンク婆」だったものは「ピンク爺」である可能性が出てきてしまった。
もっとも実際に誰かが確認したわけでも、本人が否定したわけでもないので、真相は闇の中である。
ただ確かなことは、ピンク婆の得体の知れなさというか、その非現実的な都市伝説性が増しているということだけだ。