「昔から思ってたよ。こんなにも至る所に愉快なことが仕込まれまくってる世界ってヤツは、出来すぎてるぐらいな代物だって。
ちょっと見方を変えれば気づく、知恵を巡らしゃ探し出せる伏線が満載だ。
いざ本気で楽しもうと思ったら、この世界に勝るほどのエンターテインメントは他にねぇよ。
きっと誰かが書いてんだよ。脚本を。登場人物五〇億人の大河小説を書いてるエンターテイナーがいるんだよ。
……そんなやつについて語ろうと思ったら、こりゃあもう、神様としか呼びようがねぇ」
「この世界のシナリオを、何千年だか何万年だか、ずっと休まず書き続けてるんだとしたら、そりゃ愛がなきゃやってられねぇでしょ。
うん。きっともうノリノリで書いてんだと思うよ。自分で自分の作品を楽しみながら。
愛とか勇気とかに感動してさ、愁嘆場にはボロボロ泣いて、んでもって恐怖とか絶望とかにはハァハァ目ぇ剥いていきり勃ってるわけさ」
「神様は勇気とか希望とかいった人間賛歌が大好きだし、それと同じくらいに血飛沫やら悲鳴やら絶望だって大好きなのさ。