優秀な人間は劣った人間に命令する権限があるのかというと、これは自動的に発生するものではなく、何かしらマウントをしなければならない。
たとえば出来杉君がのび太に命令できるのかというと、それは出来ないわけである。
ハイスペックな人間であっても、マウントしてない相手に命令は出来ない。
出来杉君は完璧超人の記号ということだろうが、そこまで極めなくていいなら、意外とこういうタイプの人間はいるものである。
ハイスペックな人間がロースペックな人間に命令するというのは、意外とないのである。
だから、ジャイアンとのび太の関係を性能差と考えると、人間観として誤りということになる。
優秀な人間に従うということであれば、真っ先に出来杉君に隷従しなければならないので、必ずしもスペックだけの話ではない。
あるいは、出来杉君がたとえば財務官僚になって他の省庁に嫌がらせをするとしても、マウントできる対象は限られている。
やはりハイスペックとロースペックという話ではなく、マウントできる関係性ということである。
マウントするからには何らかの力が必要なので、子どもなら腕力とか大人なら頭脳とか、スペックの格差という背景もあるが、財務官僚なら誰にでも命令できるというわけではない。
ではマウントとはなんぞやというと、とりあえず無理難題をふっかけて、それが通用するということであろうし、つまり無理難題あってこそだから、性能差そのままではないのである。