2017-12-27

彼女が消えた

もう2ヶ月になる。

俺はあの日仕事から帰ってきて借家のドアを鍵で開けた。リビングに入ると彼女テレビを見ながら「おかえりー」と声をかけてくれた。

俺は何も言わずキッチンに行くと、彼女になぜ昨日の夜作ったカレーを食べていないということを尋ねた。

ごにょごにょ言って結局よくわからなかったが、あまりお腹が空いていなかったので食べなかったようだ。

とりあえず野菜炒めや魚などを焼いて晩御飯をつくった。

「ありがと」

彼女はいつもその言葉を忘れなかった。恥ずかしくて言えなかったが、俺はそんな彼女がご飯を食べる姿が大好きだったのだ。

思えばこのとき同棲2年目だった。お互いに支えあいながら生きていた。

彼女看護師資格を取るために日々勉強していた。俺は彼女を養うために日々働いていた。

食べ終わると二人でテレビを見ながら夜を過ごし、二人で一緒のベットに入って寝た。

さあ、明日休みだ。何をしようかな……そう考えながらとなりにいる彼女の温もりを感じながら眠りに落ちた。

翌日、彼女は居なかった。

ベットに温もりは全くなかった。

トイレに行ったのか、あるいはコンビニに行ったのか。

LINEで連絡を取ってみたが繋がらない。

彼女荷物などはすべて消えていた。

から写真から彼女趣味で作ったコースターまで……。

全部消えていた。

彼女の両親に連絡を取ってみたが繋がらない。彼女友達を知っていたが遠くにいる上連絡先がわからなかった。

1日経ち、2日経ち、1週間経ち、1ヶ月経ち、2ヶ月経ち……彼女はまだ戻ってこない。

その間、彼女の両親には繋がったがなぜか俺を知らないふりをした。

彼女は一体どこに消えたのだろう?

あの温もりがまだ、忘れられない。

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