中途で入ってきたAというやつがいた。こいつは明るくハキハキとしたやつだった。
でもどこか作ったキャラクターのような違和感を覚えて俺は余り好きでなかった。
Aは誰とでも仲良くなりたいらしく、陰キャの俺も頻繁に一対一の飲みに誘ってきた。
あまりにしつこいので5回に1回程度の割合で参加していたのだが、俺がど会社内の派閥のどこの派閥にも属していないことを知ってか、関わった人たち(各派閥)のネガティブな情報をドンドン垂れ流すようになっていった。
Aは各派閥の飲み会や会合に潜り込んで内偵のようなことをずっとしているらしく、だれとだれが繋がってるとか、誰と誰が仲が悪いとか、派閥に所属している人間には言えないことを俺に報告してきた。
いい迷惑だ。俺がどこの派閥に所属していないのはそういうのが煩わしいからだというのに。まるで俺がAを使って内偵させているみたいではないか。
興味ないからやめてくれといってもAは聞きやしない。
飲み会で情報を仕入れてきたと嬉々として報告してくるが俺はそういう「情報の探り合い」みたいな飲み会は大嫌いなんだ。普段の愚痴を軽く流してスッキリする。後腐れのないそういう飲み会が好きなんだよ。お前みたいにズルズルと引きずるような密談みたいな飲み会はしたくないんだ。酒が不味くなる。
おかげで知りたくもない各派閥のいざこざや人間関係が記憶されてしまって、その人達と喋るときに余計なことを言わないように気をつける必要がでてきてしまった。
オマケに密談じみた飲み会をしすぎたせいで友人たちとの飲み会もどこかつまらなく感じるようになってしまった。
Aに出会わなければよかった。酷い悪影響をうけた。