もうずいぶん前だが、学生に「ノックの回数って何回がいいですか」と聞かれた。
私はそんなの考えたこともなかったので、「えっ、そりゃ2回じゃないの」と答えようと思ったのだけど、
いや、やっぱり若干多い方がゴージャス感が出ていいかも、とひらめき「3回」ということにした。
もちろん学生は怪訝な顔をする。
2回叩くのはトイレのノック、だから面接で使うのは失礼にあたる、というわけ。
こうすると学生はみんな感心して「知らなかったー、この教室に来てなかったら大失態でしたよ」となる。
その後口コミなどで広まったのか、今では3回ノックが就活のスタンダードとなってしまった。うしし。
この例から分かるように、嘘マナーを教えるのは、愉快であるだけではなく他教室との差をつける意味でも有益なのだ。
これに味をしめた私は、毎年一つを目安に新マナーを開発し、カリキュラムに取り入れている。
「右足は和式のレバーを踏む足だから、清潔な左足から面接室に入らねばならない」というのが去年の作。
最近は和式便所が少ないせいか反応はイマイチだったが、学生たちはちゃんとメモしていた。
どうやったら左足から面接室に入れるか、ドアまでの歩数計算に苦労したでしょうね。
今年はどんなのにするか、まだ決めていないけれど、
マナー界に衝撃を巻き起こすような意欲作を送りだしたいと思っている。