2016-12-02

自由になりたい

駅前に座っているホームレスのおじさんが「精神身体従属する」と呟いていた。

会社上司ミスをした私に向かって「少し休んで頭を冷やしてこい」と言った。

私は疲れて声も出なかった。

家に帰ってから、ふと思った。

いったい、私を規定しているものはなんだろうか?

精神だろうか、身体だろうか。

もし精神なら、この疲労した体から抜け出したら楽になるのだろうか。

そう思った瞬間、私の魂は身体から分離していた。

気が付くと、夜の住宅街を猛スピードで飛んでいた。

家々の屋根の隙間を通り抜け、公園落ち葉を散らし、冷たい夜風を全身に受けながら、私は「あああ」と声にならない叫びを上げていた。

そこには自由があった。何にも邪魔されない自分存在していた。

「もう元には戻れない。」そう思った。

明日、出勤しない私を気にかけて、上司マンションに連絡するかもしれない。

管理人が扉を開けると、そこには私の身体が横たわっているだろう。

その体は呼吸をしていないし、心臓は止まっているだろう。

しかし、そんなことはどうでもいい。

今ここに本当の私がいる。それだけで十分だと思った。

これからどこに行こうか?

ふと上を見上げると、夜空に星が輝いていた。

そこには真空の空が無限に広がっていた。

私の魂は夜空に向かって徐々に高度を上げていった。

その輝く光はやがて星々の間に溶け込んで、小さな点の一つになった。

夜空に星がひとつ増えたことを気にする人は誰もいない。

  • シームレスなおじさんってどんなんだろうと考えてしまった

  • 上司はマンションに連絡しないかもしれない。 管理人は扉を開けないだろう。 数ヶ月後に特殊清掃業者が入るだろう。 そんなこともどうでもよければ、あなたは自由だ。それで十分だ...

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