昼飯にそんな話を聞いた。
7、8年働いていて年次は近いが、顔をちゃんと覚えていない隣のチームの男だ。
彼は海外支社もそこそこ数がある東証一部上場企業のうちに入社して以来ずっと、「海外で働きたい」とアピールし続けたらしい。トイックも努力の結果900オーバーとのこと。
大企業のことである、一人の男の要望だけを聞くわけにはいかず、バリバリの国内の部署に閉じこめられ続けた桐島は、国際なんたら機構への転職が決まったので、会社をやめるというのである。
正直今までのキャリアや知識が活きるイメージが湧かなかったので、リスクをとったな、というマイナスの感情と、それでも「海外に行きたい」という強い想いを成就させたことに対する羨望に近いプラスの感情が入り混じって、なんともいえない。
顔もよく覚えていない桐島を素直に応援する感じにはならないけど、いま自分がいる場所がベストなのか、最近ずっともやもやしている俺にとっては、なんか気持ちの良い出来事だ。
桐島、がんばれよ。