もうその仕事は終わってしまって、今後関わることもないと思う。
彼は顧客とはそれなりに円滑にやっているようではあった。
彼の同期の社員が苦手がっているのを知っていたので、何故だろうと思っていたが
ひどい罵倒や悪意に満ちた返事をなんどか受けていた。
一人でいる彼を見かけて、お節介でも声を掛けるべきだと思っていた。関わる前は。
おとなしく人見知りなだけなのだろう、と。
けれど一緒に仕事をした今となっては、もう声を掛けようとも思わなくなっていた。
彼のコミュニケーションの差は、性質や能力の差なのか・地域性などの文化による差だったのか。
あるいはそれらの複合技なのか。
察するとか推察するということを一切しないようで、「何を言っているか分からない」と何度も言われた。
侮蔑的な意味合いではなく、言葉通りの「言っている意味がわからない」という言葉だった。
嫌味ではないことは分かったので、質問の際には前提からきちんと説明するようにした。
毎日、昼食の弁当に突き箸をしながらPCのモニターを眺めていた同僚。
言おうかと思ったけれど言えるはずもなかった。