結婚したこともないのに、家庭板のような内容の漫画に共感してしまう。
過干渉でいびってくる姑、親戚のセクハラや質問攻め、守ってくれないどころか敵方に付く夫。「お前がちょっと我慢すれば丸く収まる」
大抵そういう漫画では、結婚する前や新婚の時期の恋人または配偶者との何気ないやりとりに主人公が違和感をおぼえる描写がある。
何気ない、些細なやりとりから疑問が沸いてきて、でもそれを口に出すことも憚られて飲み込んでしまう。
たぶん、その時点でそれを口に出したら「そんな難しく考えなくていいのに」「大げさ」「そんなに先のことわからないよ」「俺のことそんな風に思ってるの? ひどくない?」
そういう返しがきて、それ以上はやはり口を噤むほかない。自分でも考えすぎだと思う、思おうとする。そういうことが見えている。だから口に出せない。
一つ一つは小さなことで自分が努力か我慢をしさえすれば問題ない大したことではなかったはずで、その努力や我慢もそう呼ぶにも足らないほんのささやかなものだったはずなのに
いつのまにかそんな些細が山積みになってどうにもならなくなる。あの感じ。
幸せなカップルを描いた漫画であれば逆に、日常の些細なことで幸せを感じる描写がある。
どちらにせよ、些細なことが積み重なってできている。
些細なことを全く気にかけないようになれたら、もっと伸び伸びとたのしく大きく生きられるんだろうか。
貧すれば鈍するというけれど、貧すれば貧するほど、何故だか些細なことが気になって仕方なく、大きく見えてしまっているような気がする。
自分の辛さを語るとき大げさになってしまうのは辛いと言える資格が欲しいからだけでは多分ない。またそれを大げさだとも自分では思えない。