ぽんぽこ88年、羽手名村の大字題有井と大字無し地域にまたがる巨大ニュータウン「羽手名ブログ」の建設が始まった。
大字題有井の住民は新しもの好きでもあったので、新しい“ブログ”に次々に移住していった。
何人かの住民はトラックバックが発動できないという土壌に驚きを禁じ得ないでいたが、村営有線電話「羽手名キーワード」が敷設されていたのでそこまで託つ者もいなかった。
なによりも新しい“ブログ”の住宅団地では家の改装が自由自在にできるだけあって好評を博したのであった。
そう、好評を博した。博しすぎたのである。
ぽんぽこ89年の頃から村の気配が変わっていく。活力門扉の町から、文言報道の町から、塀須物久の村から、あるいは文言報道の役場から建設キットを受け取ってどこの村にも属さない野山に家を立てて過ごしていた人たちが徐々に羽手名ブログに移り住んできたのだ。
新住民が次々にやってくることに旧住民は行く末安泰なことに顔をほころばせていたが、その顔はやがて曇っていく。
新住民はウェーイ系であった。
なんだこの人たち。こんな異世界の人たち、なんでここにまで来ているんだ。
―――旧住民の戸惑いは、やがて怒りに変わっていく。
俺達の平和な村は消えた。返してくれ。あの平和な空気を。
ぽんぽこ90年、旧住民の動揺はいよいよ高まってきている。
寄合で「モヒカン復興、新住民研究」を掲げて反抗を始めるか。
福澤アナのように新住民社会に溶けこむか。
あるいは物語が進む前に融和策を役場が講じるか。