2015-09-09

叔母が消えた

父方の叔母が消えた。

蒸発したのではない。

叔母は結婚せずに一人で暮らしていた。

仕事大手医薬品メーカー事務職を続けており、

60歳の定年後は再就職をすることもなく趣味手芸を楽しんでいた。

ここ2年ほどは音沙汰もなかったが、まだ60代と若いので特に気にかけなかった。

夏の終わり頃、叔母のアパート大家から電話があった。

家賃滞納が続いているので部屋をあけるということだった。

最悪の事態に備えて父とわたしが立ち会った。

あけると生活感はあるもののもぬけのからだった。

リビングにも風呂場にも叔母はいなかった。

どこにいったのかと思い、寝室をあけると異臭がしており、

布団に人型の跡がついていた。

「ああ」大家は呻いた。

「これ死んでんな」大家は続けた。

わたしが死体がないと言うと

人間最後は液体になるんさ」と大家が言った。

よくわからなかったが、人体の60%は水でできているということを

何かのCMで聞いたことがある。

しばらくその布団の染みを見つめた。

そして、叔母はやっぱり蒸発したんだなと思った。

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