2015-07-28

みんなで、夜道をただひたすら歩いた、あの夏の夜を思い出す。

真夜中の、静かな散歩。  

大学1年生の夏休み友達の家にお泊まりした。高校ときに仲良かった男女グループのみんなで。

その日の夜中、誰が言い出したのか散歩をすることになった。夜寝るのがもったいなかったのかもしれない。

どこまでも続いていきそうな時間。ずっとつづいていきそうな田舎道。

はじめて歩く道だった。電灯もあまりない。人気がなくどこまでも静かな道を、ただただひたすら歩いた。

この時間が、止まってくれれば良いのに。そう思った。

『静かな田舎の、静かな夜の、何もない静かな道をただ歩いていく。』

ただ歩くだけの僕たちは、他の何者にもなりようがなかった。同じゲームをする僕たちでもなく、同じ飲食店でご飯を食べる僕たちでもない。共通の趣味とかそういうのも関係がない。あるのは、僕たちという存在だけ。生み出される会話は、僕たちのありのままだけ。

「今がきっと、青春なんだ」そんな風に思った。

夏という季節が似合う温度と空気だった。それでも、少し高校生の時に味わった青春とは違っているような気がした。


あれから数年が経った。ある人ははたらきはじめた。あのときはみんな彼氏彼女もいなかったけど、半分以上の人が彼氏彼女ができて、自分たちの新たな世界をつくりはじめている。

でも、あの日みたいにまたただ道を歩くようなそんな時間をかみしめたい。今度は結婚している人だって出てくるのかもしれない。

話す話題は新しい学校生活への不安じゃなくて、働く中でのあれこれに変わっているかもしれない。家族の話かもしれない。そんな時間が来ることを信じて、今日もまた生きていく。

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