僕は童貞だ。
童貞を殺す服とか言うのでも、そうでないものを着ていても容姿のいい女を見ると「いろいろな意味で、一生あの美しさは手に入らないんだろうな」というコンプレックスで心がやられる。
風俗にでもイケよとか言うけど、なんだかなぁという気持ちである。
自分と仲良くしてくれる難関国立大学編入志望の年に30回以上はソープに行く二回生がクラミジアと淋病を併発した事があると自慢げに診断書を見せてくる。それでもやっぱり彼は色々と引きずっているからどうしようもないものはどうしようもないのだろう。
持病で高級な免疫抑制剤を飲んでいるし、なんか気力も出てこないからいい。
しかし、それはただ「キモいのお断り」を遠回しに言ってるだけなようだ。
清潔感のある顔とか言ったら、色白イケメンを出してくる時点で終わってる。
僕のような顔の形が変で大きくて、皮膚は月面の如く生々しい凹凸があって、いたるところで細胞液が固まったようなものとか血とか脂とかが吹き出してグチョグチョになっていて、鼻には開ききった毛穴がまぶしてあって、肌は赤黒い色をしているのはどうやっても清潔感は出ない気がしてくる。
いや、出ないのだろう。
持病の薬を飲み始めて、肌荒れが信じられないくらいひどくなった時に、駅のプラットホームで父が僕の顔を見て「顔が良くないんだから清潔感を大事にしろ」と言った。
しかし、父は僕がどう足掻いても清潔感というものを出すことは無理だということを悟ったのか「清潔感」という言葉を二度と言わなくなった。
知り合いのアトピー持ちの男が、顔の肌すべっすべな時があってさ 異様に肌綺麗だなって言ったら 乳液使ってるってさ おまえも化粧しろ 女はほぼ全員がやってるからな 男でも試さない...