ぼくは母が嫌いだった。無知の極みを歩み続け、いつも不器用な生き方しかできない女性。
辛い事は自分の中に溜め込み、何かあると同居している家族ではなくて僕に連絡が来る。
それがたまらなく嫌で、自分に精一杯な時期もあり着信拒否の設定をしていた時期もあるほどだ。
先日ぼくは誕生日を迎え、また1つ歳を重ねた。
"いい加減むきあう必要があるのでは?"
だから送ったんだ。
「これからも迷惑かける時もあるかもしれない。でも恩返しするから。
生んでくれて、本当にありがとう。」
しばらくすると返事がくる。
「びつくりした。へんじがくるとか。こちこそありがとう。」
えらく酷い文章だ。さすがは頭の悪い母らしい。
しかし僕は、これから定期的に連絡を取り、身を呈して親孝行をするだろう。
それらは愛情ではない。僕の自己満であり、僕自身のアイデンティティを確立するためだ。
母はそれに気づいていない。滑稽である。