2013-07-29

とある改革派の苦悩

僕はある組織に属していた。組織の繁栄、維持のために尽力し、身を捧げてきた。その甲斐があって、幹部に抜擢された。

組織は今までも十分に機能していたが、僕は組織をよりよいものにしようと、改革を提案した。古い体制によって生じていた問題を払拭し、新しい風を引き入れ、より良い組織にしようと。

しかし従来の利得や権益に固執する一部の派閥が猛反発した。組織保守派改革派の大きな2つの派閥に別れて争うことになった。

組織の力関係は、保守派がやや有利だった。利権を握る奴らは、やはり権力も資金力も豊富だった。我々改革派は、組織内での力を失い、組織の外に力を求めるしかなかった。

そんな内輪もめを続けているうちに、我々の派閥は外との関係を強めていくことになった。そして次第に我々は、自分所属する組織のためにではなく、外の組織利益を求めて行動するようになった。

派閥内で、それが本末転倒だと意見をすることさえできない空気だった。改革派リーダーとなった私には派閥のものを批判することはできない。それを認めることは己自身の間違いを認めることになるからだ。そして派閥からの批判を許すこともできない。それは派閥不和解体を招きかねないからだ。

それはかつて、組織の一部が権力癒着し、組織を疲弊させているにも関わらず、自己批判を禁じ、改革を疎んでいたあの保守派がやっていたことそのものだった。我々は保守派のやり方に異を唱えて改革を求め、新たな派閥を作ったにも関わらず、その派閥内で結局保守派と同じ事を繰り返していたのだ。いや、それだけではない。外と癒着することで、自らの属する組織をさえ壊滅させかねない状況を作り上げてしまった。我々の派閥はいつの間にか、緩慢に、あるいは急速に組織を滅ぼす一群となっていた。

派閥の皆はそれに気づいていないのか、あるいは気づいていて気づかない振りをしているのか、・・・あるいはもう組織などどうでもいいのか。

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