育ってきた環境が違うから好き嫌いは否めない、と山崎まさよしも歌っているけれど、それは確かに重要だとしみじみ思う。
この目の前にある離婚届を見ながら、本当にしみじみ思う。なんだこれ、こんなもん一生見る事無いと思ってたよ。
なんでこんなことになっちゃったのか、いざ思い出そうと頭を捻っても実は大きなコレという原因は思い浮かばない。ビール2缶目あけた所で冒頭の歌詞をふと思い出しただけだ。
結婚して7年経つけど、自分なりに一生懸命努力して我慢してきたはずだった。でもよくよく考えたらそれが一番良くなかったのかもしれない。
朝起きて夜眠るまで、僕は在宅の仕事だから専業主婦の妻とはずーっと顔を合わせてるわけで、その為の努力がいつしか空回りして、ベタだけど彼女からじわじわ笑顔が消えていって、最後に見た顔はもう般若みたいだった。それ見て笑っちゃった。笑っちゃったら終わっちゃった。
えぐえぐ泣いて荷物まとめて出てく彼女は、なんていうかもう自分とは別の生き物みたいに見えた。まるでドラマや映画見てるみたいに冷めた頭で、あー僕たぶんもう一生誰も好きにならないなって思った。
なんとも思わなかったんだよね、7年前に永遠の愛を誓った相手が目の前で鼻水だらだら垂らして真っ赤な顔で号泣してるのに。
多分彼女は僕が優しい言葉を投げかけてくれるのを待ってたんだろうな。いつもみたいに彼女の言葉に全部イエスって言って、僕がどれほど出来そこないの旦那なのか認めて。
槇原はもう恋なんてしないなんて言わないよ絶対なんて歌ってたけどね。僕はもう駄目、もう恋なんてしない。だってこの現実に満足すらしてるんだって気付いちゃったもの。
さて、3本目のこれ空けたら判子を探してくるか。
そう言えばこれ書きながら気付いちゃったよ。僕、彼女の顔、今もう思い出せないや。