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あの夏の數かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ(小野茂樹)
作者にはかつて高校時代に思いを寄せた同級生がいたんだけど、その後どちらも別の人と結婚をして、その後再会し、離婚を経て結婚した。
というドラマチックな背景は置いておいても、何かに恋い焦がれている高揚感や没入感がよく表現された一首だと思う。あとあんまり意味がわからなくても声に出して読むと気持ちがいい(大事)
好きな人でも風景でも推しでも、強烈に見惚れると解像度がバグるというか、数秒の短い時間がコマ送りみたいになって無数の写真のように立ち上がってくる。
コマ送りだから一枚一枚にほとんど違いはないけれど、その全部が唯一で無二のもので、心の深いところに焼き付いてしまう。
「あの夏」は出会ったばかりの高校時代のことと読んだ。「今はお互い大人になって結婚までしてしまったけれど、戻りましょう、あの夏に」と呼びかける歌なのだと思う。
君かへす朝の敷石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ(北原白秋)
年々にわが悲しみは深くしていよよ華やぐいのちなりけり(岡本かの子)
早春のレモンに深くナイフ立つるをとめよ素晴らしき人生を得よ(葛原妙子)
馬を洗はば馬のたましひ冱ゆるまで人戀はば人あやむるこころ(塚本邦雄)
海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手をひろげていたり(寺山修司)
男の子なるやさしさは紛れなくかしてごらんぼくが殺してあげる(平井弘)
あの夏の數かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ(小野茂樹)
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本だとちょっと古めなら『日本文学全集29 近現代詩歌』(河出書房新社)(上で引いたのはこの本から)