2023-03-13

anond:20230313195428

小難しいと言われがちだが、例えば吉本隆明のような韜晦的悪文ではなく、解読しようと思えばしっかり解読できる文章だった。

思わせぶりなハッタリに満ちてはいるがハッタリはハッタリと識別できる。ふつう日本語としては癖が強いが、記号としてはノイズが少ない。

そしてちゃんと読んだらめちゃくちゃ幼稚なことしか考えてないな、なあんだというものだった。

そのあたりはハヤオに似てるかな。思わせぶりの巧さ、芯の薄っぺらさ。

意外かもしれないのは彼は作られたアイドルだということ。筆一本でのし上がったのではなくインナーサークル内で政治的に上手に泳ぎ続けた作家

大江作品セカイ系が多い。「治療塔」はエンタメとしてなかなかの出来だが、エバンゲリオンよろしく世界人類にとってのキーパーソンは尽く主人公血縁である

晩年の身辺雑記みたいな私小説みたいなウダウダがそのまま小説だというスタイルには妙な味わいがあった。一つの発明ではある。それもセカイ系の変奏だ。進歩的知識人特別存在で、その日常の些事や生理世界シンクロしているのであるおまえらとは違うんです。

まあ一言でいってよくある昭和の徒花のひとつよ。時代を超えて残ったりしない。これから忘れられていくという意味じゃない。作品はもう忘れられてる。いまリアルタイム大江作品読んで心震わせて若者なんか日本中に一人もいない。彼の「思想」なんてものはもともとない。作品以外の社会的発言は全て左翼的スローガン拝借しかない。

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