日銀が昨年12月に長期金利の許容変動幅を拡大するYCC運用の見直しを決めたことで、市場には一段の政策修正に対する思惑が広がっていた。政策委員は、運用見直しについて「あくまでも金融市場の機能改善を通じて金融緩和をより持続可能とするための措置だ」と説明。効果を「いましばらく時間をかけて見極める必要がある」との指摘もあった。
会合では、現行の大規模な金融緩和策の継続を決め、金融調節の円滑化を図るため、国債などを担保に金融機関に低利で資金を貸し出す「共通担保資金供給オペ」を拡充した。金利入札方式も貸付期間を従来の1年以内から10年以内に長期化するとともに、固定金利方式の適用利率について、年限ごとの国債の市場実勢相場を踏まえて、貸し付けの都度決定するとした。
共通担保オペの拡充についてある政策委員は、「現在の大規模な国債買入れに加え、安定的なイールドカーブの形成に役立つ仕組み」と指摘。同オペも活用しながら「機動的な市場調節運営を続けることで、市場機能が改善していくことを期待している」との意見も出た。前回会合に続いて金融政策の検証の必要性も指摘された。
会合後に公表された新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の前年比上昇率の見通しについて、2022年度を3.0%と従来の2.9%から上方修正した。23年度は1.6%に減速し、24年度に1.8%に伸びが拡大する見通しだが、黒田東彦総裁は2%の物価安定目標を「持続的・安定的に達成できる状況は見通せていない」としている。
会合では消費者物価について「物価上昇の起点であるコスト・プッシュ圧力は減衰し始めている」などとして23年度にかけてプラス幅が縮小していくとの見方が複数あった。先行きについては賃上げ実現の重要性を指摘する声が相次ぎ、「賃上げの機運は高まっており、大企業を中心に相応のベアが実現する可能性があるが、中には賃上げに慎重な声もある」との見方が示された。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-26/ROXL4YDWLU6C01