2021-09-18

鬼滅の刃』と嗅覚聴覚・触覚

 竈門炭治郎は嗅覚が、我妻善逸は聴覚が、嘴平伊之助は触覚が優れているが、この3つの感覚の組み合わせについて書かれた文章を、何処かで読んだ記憶が有った。それが判明したのでメモしておく。

引用ここから

 男と女の愛の語らいは、昔から夜中に行なうのが一般的であった。言い換えれば、愛とは、第一次的に視覚依存するものではなく、香り(嗅覚)や声・物音(聴覚)あるいは肌触り(触覚)のなかからかに創り出されるイメージの、想像力による夢幻世界における営みであった。そして、日本的女性美の一つは、この視覚的な隔離から発生しているともいえよう。『堤中納言物語』の「虫愛づる姫君」のなかに「鬼と女とは人に見えぬぞよき」とあるが、この言葉が苦しまぎれに吐かれた言葉にせよ、実に見事に女の美のあり方を、愛のあり方を示唆している。

引用ここまで=

小松和彦『神々の精神史』「屍愛譚をめぐってーーー伊弉諾伊弉冉の冥界譚を中心に」より

 念の為に言うと、作者のネタ元がこの本・論文であると断定しようというのではない。

 私が門外漢から詳しく知らなかっただけで、国文学世界では、それに明るい人たちにとって「夜の世界嗅覚聴覚・触覚の結び付き」という認識が共有されているらしく、そのことを私が上の本で知ったというだけの話である

 『鬼滅の刃』の作者は、和の文学文化をかなり学んだと推測される(コメントの数々を読むと、非常に活字に親しんでいるように推測される)ので「夜と3つの感覚関係」も何らかの文献などで学んでいたのだろう。

 テレビアニメ第一期の再放送をしていたので、その記念にメモ

 なお、上の小松和彦の本は『鬼滅の刃』と関係なく、非常に面白いのでお勧めである

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