まず言うまでもなく、二次試験を行う場合、問題作成・管理・試験実施・採点のコストがかかる。単純にセンター試験の点数順に合格者を決めれば、これらのコストはかからない。
次に、二次試験には悪問が多い。大学入試には毎年、ほぼ全ての大学で、手をつけなくても合否に影響の無い難問奇問が出題される。これは試験の役割を全く果たしていない。入試問題は、高校の勉強の習熟度を図るために作成されるべきであり、一部の入試マニアの嗜好を満たすためにあるのではない。
勉強熱心な受験生諸君には残念なお知らせだが、二次試験の対策は、大学で学ぶ上で何の役にも立たない。大学入試の問題は、上に述べたような入試マニアを興奮させるための難問奇問にかなり偏っており、現実的に入試対策の大部分はそれらの対策となる。この入試に出てくる難問奇問は、大学で学ぶ学問とはほとんど何の関係もない。実際、たとえば経済学部生が高校数学を復習しようと思ったとして、東大や京大の過去問を解こうとする奴は一人もいない。
採点のコストとも関係するが、入試問題の採点には採点者の主観が大いに関係する。どう言うことかと言うと、採点者によって採点基準が異なるので、採点基準にズレが生じると、採点者間で議論をして全体の出来とか諸々を考慮して、その都度採点基準が変わる。その基準は全く公開されない不透明なものである。だから、たとえば受験生が極限の問題をロピタルの定理を使って解いたとして、それがマルになるかバツになるかは状況によって変わる。「この問題はほぼ全員できていたから、点差をつけるために、相加平均・相乗平均の不等式を使うところで、xとyが正の数であることを明記していない答案は減点する」などということは普通にある。マークシートならば、このような不透明さは無い。
そもそも現実問題、二次試験が必要な大学は日本に存在しない。東大ですら、合格者のセンター試験の得点は8割弱〜9割後半まで、200点近いばらつきがあり、単純に点数順に合格させるだけで意味のある選抜になる。その上、センター試験には上記に述べたようなデメリットは無い。
数学セミナーの懸賞問題や、数学オリンピックなどの競技数学などならともかく、大学入試という公的な試験でいまだにパズル大会してるのって日本だけなんじゃないかな。