源氏物語をひたすら読んだ授業の後、薄暗い部屋でぼんやりしていた。
あまりに、空気がひどかったので窓を開けている。千代田区も京都も空気の質は変わらない。
すると、隣の部屋から「起きてくださーい」という女の声が聞こえる。時間は午前11時である。
朝、同じ学部の同じ学年の醜女は孤独だった。醜いから、相手にしないのだ。美人なら男一人いるはずだ。
隣の部屋の男女はどちらも顔がいい。
11時45分、赤ん坊の鳴き声が聞こえて来た。マンションの隣の家の赤ん坊だろうか。
大きく言ってしまえば、容姿の良い女が大っ嫌いなのだ。性的魅力という武器で、自分が苦戦している源氏物語のWEBでのテストの解答も楽々手に入れているだろう。
嫉妬という輩がいるが、そんなこと言われても困る。きれいな容姿なら自分は文句を言わない。でもきたないからいう。それだけ。
窓を閉めようとした。
隣の部屋からだった。
「あっ あっ あっ」とかいう女の鳴き声だ。
MARCHの不細工な高校生時代の友人に電話をかけた。その時、英語のテストだったので繋がるわけがない。
そして大声で、母親に話した。「隣でセックスしている いま、終わっておはなしちゅう」と。
母親は笑った。
正直なところ性的魅力がなくて、嫌がられるのはわたくしのご両親のせいだし、金なしのセックスができないのもそのせいだ。顔の肌からは膿やらが吹いているし、赤い月面だ。
数日後、猫がいる広場にいた。
17時で寒かった。
猫と遊びながら弁当を口に詰め込んでいた。
一人は重いアトピーな肌だ。
例えそうでなくても、金を払わないセックスは無理だ。
自分が女なら断る。いやがる。
救いは猫が優しかったことだ。
いや、あの猫たちは誰にでも優しいから、救いではないかもしれない。
彼らも僕も醜女も、性的魅力がないからこの学校でいやな思いをしていることは確かだ。
悲しいことにお互いが繋がりたいかと言えばそうではない。醜い人間も、美しい人間も、美しい人間とセックスしたいというクソみたいな輩は卑屈だと怒り出す、当たり前があるのだ。