小学生のころ、無口で、地味で、メガネで、運動が出来なくて、勉強は普通くらいで、自分から人に話しかけず、休み時間もずっと席に座ってる子が居た。
彼は孤立していた、別にいじめなんか無くたって、こういう子が孤立するのは当然の事だろう。
彼にはハカセというあだ名があった、当時はのび太みたいな子には大体ハカセってあだ名がつく時代だった。
彼はその日もただ静かにしていた。すると先生が彼をイジり始めた。
休み時間にこっそり話しかけるようなものじゃなくて、授業中や先生の話の時間に皆に聞こえるように言った。
小学生は哲学なんて物を知らず、その知らない言葉に興味を持った。先生哲学って何ですか。
「考え事をする学問だ。何でもいいから、色んなことを深く考える難しい学問だ。」
凄く漠然とした説明だったが、家に帰って親に聞いても似たような答えが返ってきた。
彼はただのコミュ障だったし、周りも哲学を正しく理解した奴なんかいなかったが、ハカセが哲学をしているというイメージは完全に受け入れられた。だって彼はハカセだから。
そこからハカセと一緒に哲学をするブームが到来して、それをきっかけに彼はクラスメイトと打ち解けていった。
急に思い出したことだが、今思えばこれは先生のファインプレイだったんだろう。その後もうちのクラスには学級崩壊もいじめも無かった。
分かるハカセより頭が悪い自分が嫌でレッテル貼りして暗黙の了解でシカトイジメしてたって話だね
ハカセは「おばQ」のキャラ。 先生は「おばQ」世代。