こないだラジオで「男女間の友情は成立するか問題」という手垢の付いたネタを飽きもせず取り上げていたので、
まんまと釣られてつらつら考えたことを書き留めます。
「男女間の友情は成立するか」というのは「納豆は人類の食べ物か否か」と問うているようなものであって
イケル人もダメな人もいるよね、で本来ならば結論してしまう程度の話である。
つまり「あなたは成立する派?しない派?」というのがより答えに近づくためには有効な問いなのだが
誰も真剣な回答を求めているわけではなく、会話を盛り上げるために投下するスパイスのようなものなので
「男女間の友情は成立するか」という形での問いは、解りあえない断絶を作り出して楽しみ、また
「目の前のコイツは自分のことを恋愛対象としてみているのか否か」という淡い期待をくすぐる装置として実に有効なのだ。
「成立する派」にナンデ?成立ナンデ?と問うても、だって成立するんだもん、としか答えようがないと思うので
では「成立しない派」はなぜ成立しないのか、ということになるが、
実はここにも前提条件のトリックがある。
「成立しない派」とは、言い換えれば「異性の友だちとは何かあれば恋愛関係に発展する派」ということであり、
「異性の友だち」と認識する相手であればそこに例外がないという式が成り立つ。
だが見方を変えると、それは本人も自覚していない意識の告白そのものなのだ。
実は「成立する派」と「成立しない派」ではそもそも「異性の友人」は同じことばで違うものを指しているのだ。
「成立する派」にとって「異性の友人」は異性の友人なのだが、
「成立しない派」にとって「異性の友人」とはそもそも最初から「恋愛対象」なのだ。
つまり「成立しない派」とは「恋愛対象になる異性とだけ友だちになる人」のことなのである。
恋愛対象にならない異性とはそもそも仲良くならない人のことなのだ。
それでは成立しないのは当然のことだ。
すなわちこの問いが真に浮き彫りにしているものとは
「あなたは恋愛対象でない異性と友だちになる派?ならない派?」ということなのだが、
この問いでは身も蓋もなさすぎてマトモな回答は得られない。
やはり「男女間の友情は成立するか」という問いは、間違っているがよくできているのだ。