2013-08-20

夏の終わりに

 少し前に、ある楽器を習いに音楽教室に通っていた。

 そこの先生プロミュージシャンとしても活動している人だった。

 先生から言われた言葉で印象深いものがある。

 「適当にやって、それでお金を稼げるようになるために、みんな努力しているんです」というもの

 言われたときはまったく理解できなかった。

 適当にやってお金を稼ぐだなんて。なんて不真面目な考え方だ、そんなのおかしいと思った。

 けど最近、その言葉意味が少しだけわかるような気がしている。

 10年以上、毎年欠かさず参加している夏フェスがある。もちろん、今年も参加した。

 そのフェスでは、ベテランミュージシャンから、新進気鋭の若手バンドまでさまざまな世代ミュージシャンが出演し、それぞれのパフォーマンスを繰り広げる。

 私が見た限りの印象だけれど、若手のバンドは、数曲演奏するだけのステージでもものすごく気合いが入っている感じがする。

 MCでは『僕たちの名前だけでも覚えて行ってください』と叫び、膨大なエネルギーをそのまま音に変換したような演奏をする。

 一方、ビッグネームベテラン勢には、若手みたいな気迫は感じられない。

 何百回と演奏してきたヒット曲を「いつもどおり」演奏する。

 もう、本当に何百回、下手したら1000回以上演奏しているのかもしれない。

 だから必要以上に気合いとか気迫とか、いちいちこめなくてもステージはしっかり成り立つし、客側からしても、十分に観る価値があると思える。

 ベテランの人たちは別に最初から気合いとか気迫といったもの放棄していたわけではないだろう。

 彼ら・彼女らが若い頃は「最近現代)の若者にうけてるバンド」と同じような熱量を、何十年も通して繰り返しライブレコーディングで発揮してきた。

 そういった作業を繰り返すことで、実力が鍛えられる。適当にやったとしても元々の技量が鍛えられまくっている。 

 そこで冒頭の先生言葉を思い出す。説得がある言葉だったのね。

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