2013-07-21

[]芥川龍之介羅生門

*いろいろな経緯を経て羅生門感想文を800次でまとまることになった。せっかく書いたんだから公開しようと思って。

この小説は「下人」の我欲良心の間で揺れ動く心を、豊か語彙の写実的な情景描写で描いています。この小説テーマは、人間犯罪を起こす心理です。

「下人」は、数日前に解雇されて収入も帰る家もなくなり、餓死しそうになっています餓死しないためには、盗人になるしかありませんが、彼は道徳を破る勇気がありませんでした。そして彼は、生活のために死体から髪の毛を抜く「老婆」に出会い、一旦は死体あさりをする「老婆」を、正義の心から憎みますしかし、「老婆」を捕まえると徐々に彼は彼女を見下すようになり、最終的に彼女言い訳を聞いて、「盗人にならなければ餓死してしまう」という現実を受け止め、盗人となることを決心し、彼女着物を奪いました。

初め盗人になる勇気がなかった下人が、最後はなぜ引剥ぎをしたのでしょうか。その原因は、彼が老婆の主張の矛盾に気づいたからです。下人への言い訳の中で、初め老婆は髪を抜いた死体生前犯罪を非難します。しかし同時に、自分のし死体あさりを「餓死しないために必要行為」だとして正当化します。この矛盾の原因は「自分の生存のためなら犯罪も仕方ない」という身勝手な考え方です。下人は老婆の言い訳の主張の矛盾気づき彼女の考え方に従えば自分犯罪正当化できると考えたのです。結局下人は、死体から髪を抜いていた老婆を軽蔑していたのに、自分も同じ立場になってしまいました。この下人も、いつかは老婆と同じように犯罪の対象になるでしょう。筆者はこのことを、下人が夜の闇に消え、行方不明になるという表現で、さら犯罪が繰り返されることを暗示しています

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