「縦の旅行」という素朴な体験主義は、お坊ちゃんがちょっとシリアスな気分に浸るためには丁度いい寸法の娯楽でしかないだろう。スラム見物ツアーで何かわかった気になられてもな。
対して、人権意識と想像力があればいいというのも文字通り机上の空論だ。
人権ってのは原則でありシステム論であって、そこに倫理道徳丸ごとパッケージされてるというのはただの信仰である。
じゃあどうすれば立場の違う人間のことをリアルに思いやったりできるのかというと能動的なコミットメントしかない。
スラムを見物するだけじゃなくてそこで自分で考えて実際に手を動かして人助けしてみればさすがにいろいろわかるだろう。
「それはあまりにハードルが高い」のであれば、現実的に可能な低いハードルを自分で探せばいい。それが本当の「縦の旅行」だ。
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