2024-11-18

いつも通りのコンビニ、いつも通りじゃない出来事

俺は田舎のしがない会社員。朝6時半、いつも通りにコンビニコーヒーを買う。

レジはいもの店員さん――おじいさんで、無口だけど丁寧な接客をする人だ。名前は胸元のプレートに「斉藤とある。たぶん60代くらい。

俺は勝手「斉藤さん」と呼んでいた。

でもその日、妙なことに気がついた。

斉藤さんのレジで並んでいた俺の前のおばさんが、突然彼に話しかけた。

「お父さん、いつ帰ってくるの?」

斉藤さんは少し間を置いて、「さあ、わかりませんね」とだけ答えた。

俺はそのやり取りに違和感を覚えたけど、特に気にせず自分の番が来て会計を済ませた。いつも通りの挨拶を交わして店を出た。

その日から斉藤さんを見かけなくなった。

次に店に行った時には若い店員レジに立っていて、俺はふと気になり「あの、前にここで働いていた斉藤さんってどうされたんですか?」と聞いてみた。

店員は少し驚いた顔をして、「斉藤さん…?この店にはそんな人、いないですよ」と言った。

俺はあまりの不可解さに「いや、いつも朝ここでレジにいたおじいさんですよ」と繰り返したけど、店員は首を横に振るばかりだった。

不思議に思い、何度か別のタイミングで行ったけど、斉藤さんを見かけることは二度となかった。

後日、地元の人にそれとなく話をしてみたら、「ああ、斉藤さんなら10年前に亡くなってるよ」という返事が返ってきた。

俺はその話を聞いて、背筋が凍る思いがした。

10年間、毎朝俺が挨拶を交わしていたあの斉藤さんは、いったい何者だったんだろうか?

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