わたしは自分のことを完全に松本信者と言い切れるが、松本がメディアを去ると聞いて、怒りや寂しさを感じるよりも、何というかとても安心してしまった。
これでようやくこの息苦しさから解放される。そんな気がして何かとてもホッとしたのだ。
松本は、笑いの達人であるが、同時に警察でもある。つまらない笑いや、サムい笑いを取り締まり、人の行動や仕草、見た目にまで鋭く目を光らせ、ツッコミどころを探している。
30年近くそんな松本警察の監視下にあったのがこの国だと思う。たかがいちお笑い芸人にそんな影響力があるものかと言う人もいるだろうけど、私はそう思う。
私は、元々お笑いや面白いことが好きで、それゆえに松本に心酔してたわけだけど、松本警察の監視下のもと、気付けば「面白い」じゃなく「つまらなくない」を目指す人間になっていた。
それは今にして思えば、ずいぶんと窮屈で息苦しい世界観であったと思う。
松本が、性加害を行ったかどうかは分からない。裁判で勝つか負けるか分からない。でも、松本が笑いと芸能の頂点に返り咲くことはもうないように思う。
なぜなら、わたしと同じように、心の底では彼の退場を歓迎してる人が、思いのほか多いように思うからだ。
そして、いちお笑いファンとしては、この先、多様性を許容する優しくて、そして腹を抱えて笑えるような新しいお笑いが誕生することを願っている。