それは衣服の上からであっても十分視認ができるほどで、丘陵に見えたそれは今や勾配のある膨らみを抱いていた。
彼女の姿は、年を跨ぐ前とは確実に異なっている。
彼女を目にした者は一瞬、誰もが凍りついたように見えた。
私も思わず彼女のことをじっと見入ってしまっていた。だがそれは幾ばくかの厭らしい思いもなく、それは何処からか入り込んだ猫を目にして「かわいい」と思うより「どうしてここに!?」と思って見つめることに近かった。
その後、何事もなかったかのように業務は始まり、別段変わったこともなかった。
お昼近くとなり自動販売機の前で休憩していると「またコーヒーですか?」と声をかけられた。
振り替えるとBさんが立っていた。
それから三が日はどのように過ごしたか等の他愛もない話を交わし、私は彼女を見た。
彼女も私の方に顔を向け、思いがけず目が合った。
相手の目を見つめて話すのが苦手な性分故、私は相手と正面から話すときには胸元、というよりは鎖骨辺りを見ながら話すようにしていた。しかし鎖骨を見つめるのであっても、それが胸を見つめているように思われるのは嫌なのでこのときばかりは視線を僅か横に逸らした。
「…今日は見ないんですね」
彼女はか細い声でそう言った。
えっ?と私は困惑し、彼女の顔を見ると嬉しいような悲しいような表現をしていた。
「去年はあまり行けなかったので、今年は一緒に、たくさん飲みに行きましょうよ」と彼女は笑って言った。
「お、おう」
私はしどろもどろに答え、彼女は微笑んだまま翻すと私の前から離れて行った。
彼女、Bさんとは年齢が十五も離れているので恋慕的なものではないと思うのだけど…異性との関係に乏しい私はどう対応すれば良かったのだろうか。
anond:20230109225508 https://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20230106144551