2022-03-22

好きだったよ、大好きだった。

好きだった人と別れて1ヶ月になる。

私は彼のことが好きだった。人として大好きだった。

落ち込んだときに側にいてくれる所とか、大きな背とか、不器用だけど優しい手が好きだった。誰に対しても穏やかで、そして私には殊更優しい所が好きだった。


職場出会って、彼から告白をされて付き合うようになって、デートを重ねた。

彼とご飯を食べて、話をして、行ったことない場所に行ったり、料理を作ったり、プレゼントをあげたり貰ったり。とても楽しくて、その時間が大好きだった。


だけど、出来なかった。

どうしてもセックスと呼ばれる行為が出来なかった。

抱き締められるのは安心するし、キスも出来るし、身体を触られるのも嫌ではなかった。


でも、どうしても。セックスをしたいという欲求が深奥から湧いてこなくて。性的欲求が他の人より無いのかもしれなかったけれど、辛かった。

彼のことは好きだったけれど、信頼している彼となら出来るかもしれないと思ったけれど、やっぱりセックスは私にとってしたくないもの、だった。

本当に彼のことが好きだったのだろうか。人間性に対する「好き」を恋愛としての「好き」と履き違えていたのではなかろうか。

彼の隣で歩く時、居心地はとても良かったし素を出せたけれど、私は彼にドキドしたことが無かったのだ。


結局、将来の人生設計の相違で別れることになったけれど私は今も彼が好きだ。恋愛感情ではなく、性的欲求もなく、人間としてただ好きだ。 

縁が切れても幸せを願っている。

例え、彼はもう私のことを路傍の石としてしか見ていなくとも。

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